利用者にとって快適な環境とは

  • 2004.08.28 Saturday
  • 13:39

 一般的にスヌーズレンの物理的環境は、利用者が好み魅了される視覚、聴覚、触覚、嗅覚、前庭覚(身体の動きに関する感覚)、固有受容覚(筋肉からの感覚情報)等の感覚刺激よって満たされ、独特の雰囲気を醸し出している。なぜこのような環境が必要なのであろうか。英国のスヌーズレン実践者であるJoe Kewinは、このような環境が私たちにとってのテレビと同じようなものであると説明している。重度知的障害を持つ利用者にとって、テレビは必ずしも彼らが受け取りやすい情報(刺激)を提供しているものではない。スヌーズレン環境は、試行錯誤の実践のなかで見いだされてきた利用者にとって受けとめやすく楽しめるテレビの代わりとなる娯楽機器なのである。ゆえにスヌーズレンで使用されている機器の特徴は、知的な楽しみ方というよりも感覚刺激そのものを楽しむ方法を提供する点にある。このような感覚的な楽しみ方は、一見奇異な印象を受けるものであるが、近年、このような感覚刺激に没頭するような活動は、自閉症者にとって非常に意味があるということが明らかになってきている。  またスヌーズレン環境を癒しやリラクゼーションのためだけのものである考えている支援者が多いようであるが、支援者にとってそのように見える活動も、利用者にとっては挑戦的な探索活動になっていることがある。もちろんスヌーズレンには、リラクゼーションの役割もあり、日常生活で降り注がれる無統制な刺激で混乱し疲れた心と体を癒すための、適切な感覚刺激と受容的な人間関係を備えてもいる。 (太田篤志:福祉タームの深層理解 スヌーズレン. 月刊福祉, 8:84-87, 2004.)

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